「本物の力を届けたい」

福田礼子さん テレビ制作の裏側を鋭く切る

 2016年4月23日 (土)、連合会館で

同窓生のドキュメンタリー番組プロデュサー福田礼さん(72期:旧姓古市さん)の講演が

あり、51名が参加しました。内容は番組に対する取り組み姿勢、失敗を含めた経験談など幅広いもので「本物の力を届けたい」という思いが熱く伝わってきました。その主な内容を以下に列挙してみます。

 

1. ドキュメンタリー番組制作とは

 ドキュメンタリー番組は記録であり、創作するわけではないので簡単との意見もあるが、実は何を言いたいかの視点が重要で、良い番組とは出演者と一緒に企画し進めることにより訴求点がより明確になり、視聴者にも理解しやすい。これは出演者の過去の話ではなく、今のその人を本人と一緒に考えて作るということである。

 

2. ねつ造・歪曲問題

 テレビ会社からは常によリクオリティーの高い番組を求められる。一方制作関係者もどんなに素晴らしい内容でも平凡に見えてくることがあり、無理してでも目新しくしようとする。

 また台本どおりに行かなくて追い詰められるとチームワークが乱れ、これが落とし穴となりやすい。本来現場には、素晴らしいことが内在している。事実を掘り下げる事によりその素晴らしさにたどり着けば良いのであって、それができればねつ造・歪曲が入り込む余地はない。

 

3. 仕事を通じて知りあった田原総一朗氏のこと

 田原氏は表面的にはずけずけと突っ込むが、裏では取材相手と非常に丁寧な付き合いをしている。この信頼関係ができているから鋭い話ができる。また番組関係者にも常に挑戦することを求めており、素晴らしい番組にするためには一瞬一瞬の挑戦がないと何も面白くないと言う。だから彼は常に挑戦し続ける人には暖かい人である。

 最後に彼女は“ドキュメンタリーは時代を映す鏡でもあるが、それはまた番組制作者自身の鏡でもある "と言う重い言葉で講演を締めくくられました。

 

講演所感

 色々考えさせる講演であった。特に田原氏の番組制作姿勢やねつ造問題などは昨今の偽造問題、例えばマンション杭偽装、車の燃費偽装など枚挙に暇がないが、福田さんのようにもっと事実を深掘りすれば真実の解が有ったのではと思った。 (幹62期・木内和宣記)